読書メモ

原因を推論する”政治分析方法論のすすめ”は紛れもない名著

原因を推論する

「目に見える現象の背後に隠されている原理・原則をどう発見するか」

これが本書最大のテーマです。

世の中は最もらしく聞こえることで溢れている。

  • 日本人は陰湿だ。
  • アメリカ人は豪快だ。
  • 中国製の食品は危険だ
  • 朝ご飯を食べないと成績が落ちる

それって本当にそうなんですか?ソースは?本当に因果関係があるの?テレビでそう言っていたから?なんでテレビで取り上げられたことが正しいと言えるの?

いざ突っ込まれると、ゲッとなるものっていっぱいあります。

現代人はインターネットの普及もあって、情報の波に日々さらされています。別に悪いことではありませんよね。

毎日押し寄せる情報の波のおかげで、昔に比べ、人々の情報格差は少なくなっていると僕は思っています。一人当たりの平均情報所有量があがったというんですかね。(なんのソースもありませんが)

ただ、同時に”情報を吟味する”ことが下手糞になっている気がします。

冒頭の言葉を借りると「その情報、本当なの?」というフィルターがなくなってきているということです。

この著作は、情報を吟味する能力。表面に見えているものだけに囚われず、その背後に隠れている真理(原理・原則)を見通す能力を養うのにもってこいです。

さて、ある事柄が真実である。と言い切るために必要とされる要素の一つはなんでしょうか。

その一つに、因果関係があります。

本書でも取り上げられていますが例えば

”朝ご飯を食べないと成績が落ちる”という命題があるとします。

世間一般では、この字面だけを記憶し、常識として理解してしまいます。

でも、この命題が真実であるためには、朝ご飯を食べる子どもと食べない子どもとの間に成績の差が観測されなければなりません。じゃあ実際のところどうなのか国で作成した資料を見てみましょう。

食育統計

なんだ!ばっちり因果関係が観測されているではありませんか!

朝食を毎日食べている子の成績は高く、そうでない子の成績は低い。

やっぱりこの命題は真実ではないか。これにて記事はおわり・・・

ってちょっと待った!

確かに因果関係は観測されている。でも、本当にこの情報を鵜呑みにしていいのだろうか?

この因果関係に、なにか欠けているものはないだろうか?

例えば、朝食を毎日とる家庭は年収が平均以上で、毎日取らない家庭は平均以下の家庭である可能性はないであろうか。(母子または父子家庭で夜に働いている場合もある。)

もし、そうだとすると、成績の差は朝食の有無ではなく、年収から起因する教育への投資額の差から生まれているのかもしれない。(高い塾に通わせる余裕があるとかないとか。)

そもそも、朝食をあえて食べていないのではなく、食べたいのに用意されていないから食べれないのかもしれない。

朝食摂取と学力の因果関係をはっきりと論じるためには、条件が同一である必要がある。

つまり

  1. 同程度の家庭環境(年収・家族構成)・学習環境で
  2. 朝食を毎日食べているA君と、あえて朝食を食べていないB君の
  3. 学力の差を観測しなければならない

ということです。もちろん上記に掲げた国からの引用を真っ向から否定するつもりはありません。

でも、それだけでは因果関係があると断言できない。

もしかすると、偽の相関関係が潜んでいるのかもしれないのです。

著者は因果関係が成立するための条件として以下を掲げています。※一部()書きで補足しています。

因果関係が成立するための三条件

①独立変数(朝食の摂取)と従属変数(成績)の間に共変関係がある。

②独立変数の変化は、従属変数の変化の前に生じている。(成績が悪いから朝食を取らないのではなく、朝食を取らないから成績が悪くなければならない)

③他の変数(上記で言う家庭環境や学習環境)を統制しても共変関係がされる。

上記3つの条件をクリアして、初めてそれは因果関係があると言えるのです。

最もらしいからと言って、鵜呑みにする事なかれ

という教訓をこの本は教えてくれます。

偉そうに書いていますが、わかっていても、ついつい表面上の物事に囚われてしまうのが、人の性。

本書を熟読して、情報吟味のフィルターを習慣づけることが、とても大切なのだと思います。

あるぱか

あるぱか

投稿者の記事一覧

いつもご購読ありがとう!クソみたいなブログだからもう閉じてえぇで!

関連記事

  1. gakumon 「学問のすすめ」が素晴らしい件について
  2. kwashiwa 「佐藤可士和の超整理術」から学ぶ”本質”…
  3. green-economy グリーンエコノミー-環境規制は重荷じゃない-
  4. child-poverty 子どもの貧困から目を逸らすな
  5. jrock ロックの社会契約説の致命的な欠陥について
  6. foodbank チャールズ・E・マクジルトンの哲学
  7. write 読み手を動かす文書の書き方4ステップ
  8. kigyouhow 独立起業に成功したいならコレを読め

ランキング

ピックアップ記事

  1. k-sim
  2. blog-speed
  3. deflation-problem

ピックアップ記事

  1. k-sim
  2. blog-speed
  3. deflation-problem

おすすめ記事

k-sim 格安SIMの基礎知識

最近流行りの格安SIM。当ブログでも度々取り上げてきましたがとのお叱りのお言葉を頂き…

PAGE TOP