読書メモ

チャールズ・E・マクジルトンの哲学

foodbank

店でふと手に取った「フードバンクという挑戦」の中で、日本初のフードバンク設立者”チャールズ・E・マクジルトン”の半生が綴られています。

彼のフードバンクに対する考え方が、社会的弱者への取り組み全般に通用する素晴らしいものだったので、シェアさせていただきます。

と、その前に”フードバンクとはなんぞや?”というところに触れておきたい。

フードバンクとは?

本来なら廃棄されるはずの余剰品を集め、必要としている人の元に届ける仕組みです。

ここでいう余剰品とは

  • スーパーなどで売れ残った食料品
  • ワケありで店頭に出せない食料品(形が悪いとか梱包に潰れがあったりとか)

などの、”食べられるのに、捨てざるを得ない”食料品を指します。

このフードバンクというシステム、日本での知名度はイマイチですが、アメリカでは一般的なものだそう。

日本では食料品の1/3が廃棄に回されているそうで「あんな食料自給率で騒いでるのに・・・」と思うところがないわけではありませんが、それはまた別の機会に。

チャールズさんが、フードバンクについて日本で講演すると「どこの国に持っていくのですか?」とよく聞かれるそうで・・・「えっ日本ですけど?」と答えるとびっくりされるそうです。

日本には貧困線下(年収112万円以下)で生活している人が、約16%、実に6人に1人の割合でいます。

団体によって多少の違いはありますが、主に要支援者や社会福祉施設に余剰品を供給するそうです。

腹を空かしてるやつに同情なんていらない by チャールズ・E・マクジルトン

えぇ・・・だって、あなた日本国内での先駆けでしょうが・・・とびっくりしたのは僕だけではないはず。でも、彼のこの考え方に、社会的弱者への支援をするにあたり、一番大事なことが詰まっていると僕は思います。

彼は、インタビューの中でこういっています。

生きていくのに食べ物が不可欠であることは明白な事実だ。人間、食べ物がなければなにも始まらず、次のステップにだって進めない。だから具としての食べ物を必要な人に、どうぞと差し出すんだ。

もうね、神がかかり的な至言ですね。

「お腹が空いた人に食料を届けて幸せになってもらうんだ!」というのも支援の形の一つだと思いますが、本当の目的は負のスパイラルからの脱却に置かなければならないと思うのです。

つまり、資本蓄積(貯蓄)に向うための余裕を生み出してあげることで、生活を軌道に乗せ、自立への道を歩ませることが大切なのであって、そこを見誤ってはならない。

だから彼は、支援は道具に過ぎない。と表現したのです。

フードバンクについて言えば、「腹一杯になったぜこれからも支援よろしく」ではダメなのです。

支援はある種の麻薬であって、支援漬けにしてしまうと自立を促せなくなります。だって努力しなくても生き延びることができるのですから。

ボランティアもそうですけど、本当にここだけは見誤ってほしくない。

善意というのは、時に悪意より恐ろしいもので、無条件に素晴らしいものとは言えないのです。

ダンビサ・モヨの著作「援助でアフリカは発展しない」に、非常に興味深い一節があります。

アフリカではマラリアを防ぐために蚊帳が必要です。蚊帳の買えない人を不憫に思って、蚊帳を大量に寄付してくれる人がいた。その結果、アフリカのある街の蚊帳産業は全滅したのです。

善意が仇となって、結局は現地の人々を苦しめることになったという物語です。

ボランティアや支援を行うときは、この物語を肝に銘じなければなりません。善意は一歩間違えると皮肉な結果を招くこともあるのです。

この「援助でアフリカは発展しない」の著者が言いたいことと、チャールズ・E・マクジルトンが言いたいことって同じだと思いますよ。

「この善意は、10年後の彼らに良い影響を与えるだろうか?」と自問し、それでも答えが「イエス」ならその善意は本当の意味での善意と言えるのです。

フードバンクという一つの支援の形を通し、チャールズ・E・マクジルトンは、善意の難しさを教えてくれるのです。

補足メモ:日本の食品モラルの高さが無駄を生む!?

冒頭で、食料品の1/3が廃棄に回されていると書きましたが、海外から見ても日本の食品モラルは高すぎるところがあるみたい。

例えば、輸入食料の入った段ボールが少し凹んでいるだけで、返品要求をしてくるのは日本くらいだそうで・・・

また、中身には全く問題ないのに、成分表の記載順が間違っているというだけで、自主回収→廃棄に追い込まれることが日本ではめちゃくちゃ多いとのこと。(食品表示法の決まりで重量の割合の高い順に表示しなければいけないそうで・・・)

この意識の高さに、守られていることは否めません。ただちょっと神経質になりすぎでは?と感じることが多々あります。

消費者意識の向上って大切だとは思うのですが、最近変な方向に向かってませんかね?

例えば、ラベルに中国産と書かれているものは断固として口にしないくせに、外食で口に入れるものの産地とか全然気にしないじゃないですか。

海外から福島産の野菜が敬遠されたことについては、ブーブー文句垂れるくせに・・・あんたたちは同じことを中国にやってると思うんですが・・・第一中国産=危ないという考えが短絡極まりない。

閑話休題、日本の食品モラルが悪いとは思わないけど、その高さが無駄を生んでしまっている部分は少なからずある。

だからといって、食品モラルを下げろ。とは言わないけど、しっかりとした判断のもと、モラルを運用しなければならない。

別に缶詰の容器が凹んでてもいいじゃないですか。別に大根の形がちょっとおかしくてもいいじゃないですか。

口に入れれば同じです。

あるぱか

あるぱか

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