読書メモ

古代ローマの哲学者セネカに学ぶアンガーマネジメント

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「怒りは害悪以外のなにものでもない」ストア派哲学の代表格であるセネカの考え方はこの一言に集約されます。

文学に古典があるように、経済学にも古典があるように、アンガーマネジメントにも古典がある。それが古代ローマの哲学者セネカの書いた「怒りについて」という本です。

巷には「アンガーマネジメント」の本が溢れていますが、どれも買う必要はない。ただ一つ「怒りについて」だけを買えばそれだけで事足ります。

昨今出版されている心理・精神学の本がどれも、ユング、フロイト、アドラー、いずれかの考え方をベースとしているように、巷のアンガーマネジメントの本も、そのベースにはセネカの考えがあるように思います。

「怒りについて」を読めば、怒りとはなんなのか?怒りとはどれだけ人生に害をもたらすのか?怒りとはどれほど無益なのか?を痛いほど学ぶことができる。

自分の人生から「怒り」を取り除くことで、どれほど日々を穏やかに過ごせることか・・・

1.怒りの発生メカニズム

怒りとは、他人から不正を受けたと認識したときに身体に起こる衝動的な情念である。

怒りとは、ある行動に対して沸き上がるのではなく、その行動の”意図”に対して沸き上がるものだとセネカは言います。

具体的に言うと、例えば街中を歩いていて、ドンッと肩がぶつかった。当然イラッとくるわけです。文句を言ってやろうと、そいつのほうを振り返ると、なんと彼は全盲であった。

相手が全盲という事実を知った途端に、怒りが身体から引いてゆき、溜飲が一気に下がることは想像に難くないはず。つまり、あなたは肩がぶつかったこと(行動)に怒っていたのではなく、相手がわざとぶつかってきたのでは?(意図)ということに怒っていたのです。

つまりは、怒りの根底には「自分はなにもしていない」「自分は悪くない」という被害者意識があるわけです。全盲とわかって溜飲が下がったのは「自分に非があった・・・」と認識したことから生まれたわけですから。

自分が害された(不正を受けた)と感じた瞬間に人は怒るのです。

2.怒りっぽいやつはゴミくずだ

怒りのメカニズムを知ったことで言えることは「怒りっぽいやつは本当に情けない、ただのクソやろうだということ。だって、そうでしょ、自分は悪くない!と被害者面ばっかするやつが”怒りっぽい”という性格を備えているわけですから。

自分に対する過大評価が怒りっぽさを生み、傲慢さを生み、利己的な行動の源泉となるのです。

3.怒りは無益であることを知る

”怒り”を攻撃すると、こう反論する人もいるでしょう。「時と場所によっては怒りが役立つこともある」と。確かに、怒りの力で難を逃れたり、なにか大義を成すこともあるでしょう。しかし、だからといって、”怒り”に徳の地位を与えてはいけない。

毒薬が思わぬプラスの作用をもたらすことがあるように、それはただの結果論であって、偶然の産物に過ぎないわけです。”怒り”によって得た成功体験を、金科玉条のように考えてはいけない。

もし”怒り”が徳であり、善であるのなら、それは完成した人間にこそ備わるはずです。ところが一番怒りっぽい人間は幼児と老人です。ひ弱な人間ほどよく怒り、騒ぐわけですから、これを悪徳と呼ばずなんと言えるのでしょうか。

「いやいや、でも怒りで戦闘的になることで守れるものあるじゃない!」そういうなら酩酊状態の人間も有益ということになります。酒はしばしば人を戦闘的にしてくれるわけですから。

世の中に溢れる災厄の数々(戦争・殺戮)、その根底にあるのは間違いなく”怒り”という感情なのです。このことから、”怒り”は無益、いえ、無益どころか害悪なのです。

4.怒りをどう抑えるか?

Ⅰ.本当に不正を受けたのかを考えてみる。

”怒り”とは自分の中で増幅されるものです。些細なことを深刻に受け取ったりすることで怒りの原因となり得る種を自分であつらえることになる。

冒頭でも書いたとおり怒りとは認識の問題であって、自分の身に降り掛かったことが本当に相手の悪意による不正なのかをしっかりとチェックする必要がある。

本当に自分に非はないのか?相手が100%悪いのか?を考えることがとても重要。

Ⅱ.自分の過去の行いを振り返ってみる。

人を殺したことのある人間が人殺しを非難する。人を攻撃してばかりいる人間が、いざ自分に災難が降り掛かるとキチガイのように騒ぎ立てる・・・弁護のしようがないほどの愚行です。

怒りが抑えきれないなら、自分の過去の行いを振り返ってみることです。自分も同じことを犯した過去があるのなら、怒ってはいけない。

僕は、若い子のミスを咎める上司を見るたびにこう思います。「お前は彼と同じくらいの年頃のとき完璧な人間だったのか?」と。

部下の教育のために、怒りを”装う”ことは決して間違いではないとセネカは言います。なぜならそこには理性がしっかりと働いているから、本当に怒っているのとは全くの別物である。と。

Ⅲ.怒りには遅延が有効

怒りは衝動です。不正を働かれた”瞬間”が怒りのピークとなります。その後は時間の経過とともに落ち着きを取り戻していきます。誰もが経験していることだと思いますがセネカも怒りを鎮める最良の方法は”遅延”だと言っています。

5.まとめ

  • 怒りは不正を認めた瞬間にわき上がる
  • 不正を受けるとは、つまり自分に非が無いということ。怒りっぽい人間は常に自分が正しく、被害者だと感じるクソみたいな感覚を持っている。
  • 怒りはいかなるときも無益である。あらゆる災厄は怒りが元に起こるのだから・・・
  • 不正を認める前に、本当にそれが不正かを思慮深く考えてみる必要がある。
  • 自分も犯したことがある行動に対して、怒ってはいけない。それは自己チューである。
  • 怒りを収める最大の方法は”遅延”である。時が怒りを解決してくれる。
あるぱか

あるぱか

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