読書メモ

読み手を動かす文書の書き方4ステップ

write

「良い文章とは、読み手に変化を起こすことの出来るもの」である。

一般的に文書の善し悪しは、接続詞の使い方や文書の流れなど、いわゆる「綺麗さ」で判断されることが多く、文書を上達させたい・・・と願う多くの人が目指す場所にもなっている。

しかし、「綺麗さ」というのは、文書の根幹を成すものではなく、あくまで補助的な要素に過ぎない。

要するに、文書の目的、根幹というのは”相手になにかを伝え、行動してもらうこと”であって、綺麗さはそれを促す要素の一つに過ぎないということである。

では、相手になにかを伝え、行動してもらうことのできる文書とは、どうゆうものなのか?今日はそれを解説していきたいと思う。

とは言っても、僕自身、文書が苦手な方だ。読者の皆さんに説法を垂れるほどの知識もなければ能力も無い。そこで、今日は進研ゼミ小論文の編集長も務めたことのある山田ズーニー氏の著書「伝わる・揺さぶる文書を書く」の論を借りながら、解説していきたいと思う。

本の内容全てが役立つものではないので、「なるほど・・・」と思った箇所だけを参考として使いたいと思う。その全容を知りたい人は「伝わる・揺さぶる文書を書く」をご購入くだされ。

STEP1:その文書の目指すゴールは何か?

例えば、小論文と作文とでは、同じ文書であっても、その書き方は大きく異なる。小論文は客観性こそが全てで、提起した問題点を論理的かつ最小限の文字数で説明しきることが求められる。

一方で作文は、主観の入る余地が大きい文書で、小論文には不要といわれる情緒的な表現を駆使することが可能だ。

このように、目的によって文書の書き方というのは異なり、これは日常生活においても同様である。ビジネスで言えば、”取引先へのお願いメール”と”上司へのお願いメール”には求められる要素が違ってくる。

文書を書き出す前に、まずは「この文書の目的(ゴール)はなんなのか?」をしっかりと意識することが必要と言える。

例えば”議事録”。議事録を取れと言われると、一言一句、その人の語尾さえも忠実に書き起こす人がいるが、これは議事録の目的(ゴール)を見誤っていると言える。

議事録の目的とは”情報の共有”であり、読む人に負担をかけずに内容を伝えることが重要である。

  • この会議の目的は?
  • 前回までの流れは?
  • 会議でなにが決まったの?
  • 次回までの課題は?

以上を、要点を抑えながら、書くのが議事録の目的である。

つまり、文書というのは、書く前に必ずその目的(ゴール)を意識しないと、余分なもの、あるいは足りないものが出てくるということである。

ビジネスで言えば、今までの文書を、その意味も考えず踏襲的に作成しがちである。先ほど例にあげた議事録もその典型であろう。「A先輩が去年つくった議事録をコピーしてきてっと・・・」ではダメなのである。

STEP2:文書の中枢を成す”意見”を考える。

文書で一番重要なのは”意見”である。意見とは、読み手にどうゆうアクションを取ってほしいかの要求とも言うことができ、文書内のあらゆるパーツはこの”意見”を実現させるための補助的なものに過ぎない。

これほど重要なものなのに”意見がない”文書がかなり散見される。例えば保育園に子どもを預けるお母さんからの連絡帳に

あやかは昨日から微熱がでています。そこまで高い熱ではないので大丈夫だと思うのですが・・・

これは意見ではない、状況報告である。この文書には、読み手にどうゆうアクションを取ってほしいのかが書かれていない。もし書くのなら

あやかは昨日から微熱が出ています。よくあることではあるのですが、外遊び、屋内での遊びを問わず、走ったりするなどの激しい運動だけはさせないでください。それ以外の遊びは問題ありません。

これだと、読み手は自分がどうゆうアクションを取るべきかがしっかりとわかる。

今みてきたとおり、意見のない文書というのは、読み手からすると「ん?で?」というモヤモヤを残すだけでなく、色々な解釈をすることが出来てしまうので、大きな負担をかけることになる。

確かに小説であれば味わいの一つなのかもしれない。しかし、一般的な生活を送るうえで意見のない文書を書くということはとても無責任なことなのである。これが医療に関する文書だとしたら「読み間違えました!すんまてん!」では済まない。文書は時に、人を殺すことさえあるのである。

確かに意見のない、含みのある文書を書きたくなる気持ちはわかる。なぜなら解釈を相手に任せることによって、自分の責任から逃れることができるのだから。

医療で言えば、書き手が悪いのではなく、勝手な解釈をしてアクションを起こした読み手が悪いのである。書き手は「わからないのなら、なぜ私に電話で確認をしなかった?」と言えば良いだけなのだから・・・

そんな無責任な文書は書くべきではない。そのためには、これから書く文書の”意見”をしっかり意識することが重要である。では、良い意見(核心・本質をついた意見)とは、どうすればいつけることが出来るのか?

それは「なぜ?どうして?」をひたすら繰り返すことによって生まれるのである。例えば意見として「ジョナサン(部下)の遅刻をやめさせたい。」とあったとする。

ここで思考がストップしてしまうと「おいジョナサン、社会人なのだから遅刻をするな」という注意で終わってしまうことになる。考えてみてほしい、そんなことは誰にでもわかることなのだ。本当に遅刻をしてほしくないのであれば、その原因をしっかりと究明しなければならない。そして、その原因を浮き彫りにしてくれるのが”問い”なのである。

「遅刻の原因は寝坊なのか、それとも準備の遅さなのか?」→「寝坊です・・・」→「何時くらいに寝ている?」→「夜中の2時くらい。あまり眠れなくて・・・」→「睡眠不足が寝坊の原因だね。元々不眠症なの?」→「いえ、ここ2ヶ月くらいです・・・」→「ここ2ヶ月くらいは繁忙期だもんな。疲れとストレスから不眠症になっている可能性が高いな。」

こうやって、問いを繰り返していくと、意見(相手に起こしてほしいアクション)に具体性と深みが増すことがわかってもらえると思う。

最初は「遅刻をするな!」という意見だったのに、問いを繰り返すことによって「疲れとストレスを緩和せよ」に変化しました。ジョナサンとしては、どっちがアクションを起こしやすいでしょうか?また、どっちが上司と部下の信頼を強めるでしょうか。

このように、良い意見というのは、読み手に具体的なアクションを起こさせることができるだけなく、人間関係を円滑にするなどの副作用もあるのです。

STEP3:意見の論拠を考える。

意見をただ言い放つだけでは、自分よがりの文書となってしまう。なぜ自分はこうゆう意見を出したのか?その論拠(根拠)を読み手に納得してもらえるように提示しなければ、相手は動いてくれない。

例えば、先ほどのジョナサン遅刻事件でいくと、「ストレスと疲れを緩和せよ」という意見がありましたが、ストレスと疲れが、なぜ不眠症に繋がるのかを具体的に記載してあげないと、読み手のインセンティブは著しく下がってしまう。

上記の例の論拠を示すとするならば、「不眠症は交感神経の乱れから起こると医学的には言われている。そして、この交感神経の乱れはストレスと疲れが原因となることが多い。ゆえに、ストレスと疲れを緩和する行動を取ってほしい。」ということになろう。

意見の論拠を考える時に最も重要なのは”客観性”だ。一方で主観というのは、人それぞれ違うので主観を軸に論拠を考えてしまうと、確実性が薄れてしまう。「えっ?それお前の主観だろ?」と突っ込まれかねない。もちろん、論拠を補う一つのパーツとして、自分の体験を始めとした主観を使うのは問題ない。しかし、やはり軸とすべきは、データや各社の事例、専門家の意見などの客観性の高いものである。

STEP4:文書の無駄を省け!感情は無駄を生む!

ここでいう無駄とは文法的な無駄ではなく、感情的な無駄である。落ち着いた場面であれば良いが、抗議文など興奮した場面で送る文書には感情的な無駄が多い。

感情的な無駄が多いと、文書の根幹である”意見”を覆い隠してしまい、単なる”愚痴・文句”に格が下がってしまう可能性が高い。例えば、下記のような人事についての抗議文があるとする。

製品開発室長に、ジョナサンを任命したのはなぜですか?私は製品開発室に20年も携わってきたのにも関わらず、営業畑を歩んできたジョナサンを室長に任命するのは納得がいきません。

これでは意見がわかりません。「営業畑のジョナサンが室長に就いたこと」が気に食わないのか「自分が室長に就けなかったこと」が気に食わなかったのか。それとも「会社のためには製品開発畑を歩んできた人を任命すべき」と考えているのか。

感情を全面に押し出しすぎると、意見も、それをアシストする論理も大きく乱れてしまうのです。だから、書き出す前に自分の意見を精査しなければならない。

  • 俺はジョナサンが気に食わないのか?
  • ジョナサン以外が任命されれば不満は無いのか?
  • 会社のためには、製品開発室の人間を任命すべきと考えているのか?

と自分の本当の気持ちを探る必要がある。もし、その結果「ジョナサンが気に食わない」ということであれば、文書を書くのは辞めるべきです。その文書は自分よがりで、組織になんの役にも立ちません。反対に「会社の売り上げに繋がらないからジョナサンの任命には反対」ということであれば、筆を取るべきです。

製品開発室長には製品開発部の経験のある人間を任命すべきと考えます。その理由は主に2つあり、一つは、高い売り上げを誇ってきたA社やB社も、製品開発室長には経験者を任命していること。二つめは、営業という仕事は近い将来の利益を重視する傾向にあり、営業の考えを製品に反映させてしまうと10年後も役立つ製品を生み出せないと考えるからです。(以下略)

こうすると、読み手は、書き手がなにを要求しているのかがよくわかると思います。もちろん、感情に任せて書くことで動かせるものもあります。例えばクレームとか。

しかし、クレームも時に役立つじゃないか!と感情に任せた文書に地位を与えるのは、クソバカ野郎そのもの。麻薬が瞬間的に人生をより良くしてくれるかといって、地位を与えますか?

文書の基本はやはり論理で、感情というのはあくまで補助的な役割として考えるべきと言える。感情を前面に押し出した文書で、行動を起こしてくれる人のほうが圧倒的に少ないのです。

最後に:山田ズーニーの著作について

今回は山田ズーニー氏の著作「伝わる・揺さぶる文書を書く」の論を借り、そこに僕なりの考えを付け足しました。

山田ズーニー氏の著作を読んで考えさせられるのは”文書もコミュニケーション”だと言うこと。相手の事情も考えながら、書くことによって、意見に理解を示してもらえるだけでなく、人間関係をも前に進めてくれる副作用を持つ。これこそが、良い文書なのだと。

冒頭で書いたとおり、良い文書=綺麗な文書と考えがちですが、それは大きな誤りであることがわかる。多少、書きベタでも自分の意見が伝われば、それは文書としての役割を果たしている。

山田ズーニー氏の著作には、昨今のテクニック偏重の文書術に対するアンチテーゼを感じる。本作を読むことによって、今一度「良い文書とはなにか?文書を書く目的はなにか?」を再確認することができた。皆さんにもぜひ一読願いたい良著である。

あるぱか

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